国立環境研究所メールマガジン12月号
2018/12/05 (Wed) 18:30
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メールマガジン2018年12月号
発行:国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
メールマガジンに関するお問い合わせ: kouhou0@nies.go.jp
ホームページ: http://www.nies.go.jp/
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少しずつ冬の気配を感じるこの頃。鮮やかな紅葉が、研究所を美しく彩っています。気候変動の影響で、紅葉時期が変化する可能性があると言われています。「2050年には、京都の紅葉の見頃がクリスマスの時期になる」との予測もされているそうです。
さて、朗らかな秋晴れの11月30日(金)、国立環境研究所では気候変動適応に関する業務や研究を実施するための拠点として、気候変動適応センター(http://ccca.nies.go.jp/ja/index.html)設立の開所式が行われました。12月から研究所内に気候変動適応推進室、気候変動影響観測・監視研究室、気候変動影響評価研究室、気候変動適応戦略研究室の4つの室が立ち上がっています。
今後は、各分野の研究機関と連携しながら、気候変動影響ならびに適応に関する情報を集約し、調査・研究を進めつつ、地方自治体等への支援も進めていきます。
気候変動適応についての情報は、A-PLAT(http://www.adaptation-platform.nies.go.jp/)に集約されております。ぜひご覧ください。
それではNIESメールマガジン2018年12月号をお届けいたします。〈H.K〉
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【受賞】
1)CONG Richao特別研究員・伊藤室長・平田主任研究員・齊藤主任研究員・MAKSYUTOV高度技能員がBest Poster Honorary Mention Certificateを受賞
受賞者氏名:CONG Richao・伊藤昭彦・平田竜一・齊藤誠・Shamil MAKSYUTOV(地球環境研究センター)
賞の名称:Best Poster Honorary Mention Certificate
授賞機関:Technical Commission IV International Society for Photogrammetry and Remote Sensing
受賞年月日:2018年10月05日
受賞対象:Exploration on quantifying carbon dioxide (CO2) emission from road traffic in megacity,Geo delft 2018, Int. Arch. Photogramm. Remote Sens. Spatial Inf. Sci. ,LXII, (4), 115-119,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181005-1.html
2)CHEN HE特別研究員が日本都市計画学会・論文奨励賞を受賞
受賞者氏名:CHEN HE(社会環境システム研究センター)
賞の名称:日本都市計画学会 論文奨励賞
授賞機関:公益社団法人・日本都市計画学会
受賞年月日:2018年06月01日
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180601_1.html
3)鈴木薫特別研究員・多島良主任研究員らが優秀ポスター賞を受賞
受賞者氏名:鈴木薫特別研究員・多島良主任研究員(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:優秀ポスター賞を受賞
授賞機関:廃棄物資源循環学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象:超高齢社会におけるごみ集積所管理の実態と課題の整理,第29回廃棄物資源循環学会研究発表会, なし , 69-70,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180913/20180913-1.html
4)「所内公募・分野横断PM研究グループ」の15名最優秀論文賞を受賞
受賞者氏名:富山 一・田邊 潔・茶谷 聡・小林 伸治・藤谷 雄二・古山 昭子・佐藤 圭・伏見 暁洋・近藤 美則・菅田 誠治・森野 悠・早崎 将光・小熊 宏之・井手 玲子・高見 昭憲
賞の名称:最優秀論文賞
授賞機関:大気環境学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象: 野焼き発生の時間分布調査および稲作残渣野焼きによる大気汚染物質排出量の日変動推計,大気環境学会誌 ,52 (4), 105-117,2017
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180913-1.html
5)倉持 秀敏 室長が優秀口頭発表賞を受賞
受賞者氏名:倉持 秀敏(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:優秀口頭発表賞
授賞機関:環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会
受賞年月日:2018年08月06日
受賞対象:除染廃棄物等焼却飛灰に対する灰溶融の基礎的検討,第7回環境放射能除染研究発表会, 予稿集 , 38,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180806/20180806.html
6)吉田 崇紘特別研究員・山形与志樹主席研究員らが優秀研究発表賞を受賞
受賞者氏名:吉田 崇紘・山形 与志樹(地球環境研究センター)
賞の名称:優秀研究発表賞
授賞機関:東京大学空間情報科学研究センター
受賞年月日:2018年11月03日
受賞対象:ビッグデータを活用した空間詳細なCO2マッピング,東京大学空間情報科学研究センター全国共同利用研究発表大会:CSIS DAYS 2018, 研究アブストラクト集 ,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181103-1.html
7)吉田 崇紘特別研究員がGIS学会賞(研究奨励部門)を受賞
受賞者氏名:吉田 崇紘(地球環境研究センター)
賞の名称:GIS学会賞(研究奨励部門)
授賞機関:一般社団法人地理情報システム学会
受賞年月日:2018年10月20日
受賞対象:地理情報システムに関する学術論文の業績が優れた前年度末日までに35才以下の者
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181020-1.html
8)中島謙一主任研究員・南齋室長・高柳高度技能専門員がThe Best Poster Awardを受賞
受賞者氏名:中島 謙一・南齋 規介・高柳 航(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:The Best Poster Award
授賞機関:The 13th Biennial International Conference on EcoBalance
受賞年月日:2018年10月12日
受賞対象:Global Distribution of Hidden Flows Induced by Consumption of Metals: Iron, Copper, and Nickel,The 13th Biennial International Conference on EcoBalance, - ,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181012-1.html
9)篠原 隆一郎主任研究員が吉村賞を受賞
受賞者氏名:篠原 隆一郎(地域環境研究センター)
賞の名称:吉村賞
授賞機関:日本陸水学会
受賞年月日:2018年10月07日
受賞対象:湖沼河川におけるリンの動態に関する研究に対して
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181007-1.html
10)風間 健宏特別研究員がBest pesentation awardを受賞
受賞者氏名:風間 健宏(地域環境研究センター)
賞の名称:Best presentation award
授賞機関:17th World Lake Conference
受賞年月日:2018年10月22日
受賞対象:Relative importance of physical and biological factors regulating tintinnid populations: a field study with frequent samplings in Sendai Bay, Japan,17th World Lake Conference, Abstracts , 282,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181130.-1.html
11)横溝主任研究員・深谷特別研究員が第34回個体群生態学会ポスター賞(最優秀賞)を受賞
受賞者氏名:横溝 裕行主任研究員,深谷 肇一特別研究員
賞の名称:第34回個体群生態学会ポスター賞(最優秀賞)
授賞機関:個体群生態学会
受賞年月日:2018年10月06日
受賞対象:Analysis of flow matrices describing inter-stage flows of individuals using randomly generated population matrices.,第34回個体群生態学会, Abstracts , 34,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181129_1.html
12)河野 なつ美特別研究員が第59回大気環境学会年会ポスター賞を受賞
受賞者氏名:河野 なつ美(地域環境研究センター)
賞の名称:第59回大気環境学会年会ポスター賞
授賞機関:大気環境学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象:日本全国における大気汚染物質の長期変化トレンドの統計的解析,第59回大気環境学会年会, 同予稿集 , 354,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181129-2.html
【報道発表】
1)気候変動適応法施行記念国際シンポジウムの開催について
気候変動の影響はすでに顕在化しており、今後その影響が増大することが予測されています。このため、その影響を回避・軽減する適応策の取組が一層求められています。こうしたなか、平成30年度12月1日に「気候変動適応法」が施行される運びとなりました。 これを受け、環境省と国立環境研究所の共催で気候変動適応法施行記念国際シンポジウム「地域は気候変動にどう備えるか?」を開催することとなりましたのでお知らせいたします。
本シンポジウムが気候変動への影響とその適応に関する理解を深め、地域での取組促進の一助になれば幸いです。 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181105/20181105.html
2)10年間の民間旅客機観測(CONTRAIL)によりアジア太平洋地域の大気中二酸化炭素分布の三次元構造を解明-アジアモンスーン高気圧による隔離と流出が明らかに-
日本航空の旅客機を利用した温室効果ガス観測プロジェクト(CONTRAILプロジェクト*1)で取得された10年間にわたる大量の観測データを解析することによって、これまでは断片的にしか捉えられていなかったアジア太平洋地域における大気中CO2濃度の分布を三次元的に明らかにしました。アジア太平洋地域特有のCO2濃度の分布には、シベリア域の森林によるCO2の吸収やアジアの化石燃料起源の排出の影響とともに、夏季のアジアモンスーンに伴う大気輸送が重要な役割を果たしていることが明らかになりました。アジア地域ではこれまで地上でのCO2濃度の観測でさえ非常に限られたデータしかありませんでしたが、CONTRAIL観測はアジア太平洋地域におけるCO2濃度変動の実態把握を大きく進展させ、アジア地域の炭素循環の理解に大きく貢献するものと期待できます。
本研究の成果は、2018年10月17日に、欧州地球科学連合のAtmospheric Chemistry and Physicsに掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181106/20181106.html
3)妊娠期間中母親血中カドミウム及び鉛と妊娠糖尿病との関連について:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)における研究
環境省及び国立環境研究所では、公立大学法人名古屋市立大学(以下「名古屋市立大学」という。)をはじめ全国15大学・機関(ユニットセンター)ともに、子どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにし、次世代の子どもたちが健やかに育つことのできる環境の実現を図ることを目的として、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っています。
今回、平成28年4月にデータが確定した約2万人の母親の血中カドミウム及び鉛と妊娠糖尿病との関連を調べた結果、両者には関連が認められませんでした。また、従来の報告と同様に、母親の高齢、肥満、過去に妊娠糖尿病にかかった経験があることは、妊娠糖尿病の予測因子であることが確認されました。
本成果は、平成30年10月30日に環境保健の国際専門誌である「International Archives of Occupational and Environmental Health」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181112/20181112.html
4)水生植物を効果的に保全するには?: 種の生活史特性を考慮した保全対象地の選択が有効
国立環境研究所と国立大学法人東京農工大学、学校法人東邦大学、学校法人常葉大学は、東広島市西条盆地の415のため池に生育する水生植物62種の過去37年間の在・不在データを解析し、一度池から消失した水生植物種が再び出現(個体群が回復)する頻度を明らかにしました。さらに、この再生プロセスを考慮して保全対象とするため池を選定した場合、それらを考慮しない場合に比べて少ない数のため池でより多くの種を効果的に保全できることを明らかにしました。本研究は、生物が持つ生活史特性※1と個体群動態を考慮した保全計画を実施することが重要であることを明らかにした初めての研究です。
本成果は英国生態学会の学術誌Journal of Applied Ecology誌電子版に2018年11月13日(日本時間13時)に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181113/20181113.html
5)半永久的に細胞増殖可能なヤンバルクイナ由来細胞の樹立 鳥類細胞の細胞増殖制御機構の一部を解明!
国立環境研究所、国立大学法人岩手大学、国立研究開発法人国立がん研究センター研究所を中心とする研究グループは、ニワトリとヤンバルクイナの細胞に「変異型CDK4注1, CyclinD注2, TERT」遺伝子を発現させることで、細胞の寿命を大幅に遅延できることを発見しました。さらに、これらの遺伝子導入細胞から、半永久的に細胞増殖が可能な「無限分裂(不死化)細胞」注3を樹立することに成功しました。特に、ヤンバルクイナ由来の無限分裂細胞は、世界初の絶滅危惧鳥類の無限分裂細胞の樹立であり、極めて貴重な生物資源の樹立に成功したことを意味します。
国立環境研究所では、ヤンバルクイナをはじめ、国内に生息し絶滅が危惧されている多くの野生鳥類から取得した細胞の保存を進めています。絶滅危惧種は、細胞のサンプリングの機会が限定されているため、細胞寿命の延長さらには無限分裂細胞樹立は絶滅危惧種由来細胞の研究資源化において重要な課題です。本研究で樹立した無限分裂細胞は取り扱いが簡便であるため、絶滅危惧種を取り巻く感染症や汚染物質などのリスクを、細胞レベルで比較的簡便に評価することが可能です。
本成果は、2018年11月11日に「Journal of Cellular Physiology」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181116/20181116.html
6)地球温暖化は多様な災害の増加と同時発生をもたらし世界の多くの人に影響を与える
芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)土木工学科平林由希子教授と国立環境研究所(茨城県つくば市/理事長 渡辺知保)地球環境研究センター花崎直太主任研究員は、ハワイ大学のモラ教授の取りまとめのもと、太平洋島嶼国気候変動協同体、コーネル大学、米国農務省森林局、レディング大学、ルンド大学、AER社、ケンブリッジ大学、サウサンプトン大学、プリンストン大学、ウィスコンシン大学、マサチューセッツ工科大学と共同で、地球温暖化が多様な気候関連災害を増加させることで、健康、食料、水、経済、インフラ、安全保障といった主要な人間システムに大きく影響することを示しました。気候関連災害は、地球温暖化によって強度が増加するうえ、複数の災害が同時に生じることによって、先進国と途上国の多くの人間に影響を与えることが明らかになりました。
※本研究成果は、Nature Climate Change誌に掲載されました(世界標準時間2018年11月19日16時オンライン版)。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181116-2/20181116-2.html
7)地球温暖化への適応策として屋外労働の時間帯変更の効果を推計-増大する暑熱ストレスに対して時間帯変更のみの効果は限定的-
国立環境研究所、国立大学法人京都大学、国立大学法人筑波大学の研究グループは、地球温暖化による暑熱ストレスの増大が屋外の労働者に対して与える影響を軽減するために、労働時間帯を早朝にシフトさせる対策をとることによる効果を検証し、論文として発表しました。
検証の結果、仮に温室効果ガスの排出削減が全く行われずに地球温暖化が進行した場合、21世紀後半に暑熱ストレスのレベルを現状と同程度に保ち、経済的影響を避けるためには世界全体の平均ではおよそ6時間程度、労働開始時間を早める(現在の始業時刻が午前9時であれば、午前3時以前に始業時刻を前倒しする)ことが必要であることが分かりました。この結果は、地球温暖化に対する対策として労働時間帯の変更だけで対処することは非現実的であり、地球温暖化そのものを防ぐ対策(緩和策)や、労働時間帯シフト以外の様々な対策(適応策)との組合せが不可欠であることを示唆しています。
この研究成果は、米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の発行する学術誌 Earth’s Future に11月21日付け(現地時間)で掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181121/20181121.html
8)国立環境研究所気候変動適応センターの設立について
国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)は、気候変動適応法(平成30年法律第50号)の施行に合わせ、平成30年12月1日に、気候変動適応に関する業務や研究を実施するための拠点として、気候変動適応センターを設立しますのでお知らせいたします。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181122-3/20181122-3.html
9)多すぎると余り、馴染みのものはよく使う-山菜・薬草の利用供給バランスは気候・社会的な影響を受ける-
国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)は、国産天然物の山菜・薬草における利用供給バランスが地理的に変化することを世界で初めて明らかにしました。全国的に供給に比べて利用が少ない中、森林が多い県では特に利用が少なく、雪の多い県では利用が多いことが分かりました。これは気候・社会的な影響によって生態系サービスの利用供給バランスが変化することを表しています。この知見は、過剰利用の注意や未利用資源の開発など、持続可能な生態系管理に繋がるものと言えます。また今回新たに提案した指標 (Over- and Under-use Index) は、簡便で広く適用できるため、他の生物資源の評価においても今後期待できます。
本成果は、平成30年10月16日に「Ecological Indicators」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181122/20181122.html
10)子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)「第8回エコチル調査シンポジウム」の開催について(お知らせ)
環境省及び国立研究開発法人国立環境研究所は、子どもの発育に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにし、次世代の子どもたちが健やかに育つことのできる環境の実現を図ることを目的として、2011年1月から「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っており、今年で8年目を迎えました。
今般、エコチル調査で得られた成果やその活用方法を国民の皆さまにわかりやすくお伝えすることを目的に、第8回エコチル調査シンポジウムを2019年1月19日(土)に日本科学未来館(東京都江東区)で開催します。
シンポジウムへの一般参加の受付は、本日から2019年1月11日(金)までとなります。参加御希望の方は、下記を御参照の上、添付の申込用紙に必要事項を御記入いただき、お申し込みください。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181127/20181127.html
11)リモートセンシングによって観測可能な光学データによる植物の光合成速度推定方法の開発
国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科の彦坂幸毅教授及び国立環境研究所の野田響主任研究員は、葉1枚での実験を通じて、リモートセンシングにより観測可能な光学データから植物の光合成速度を高精度で推定する新しい手法を開発しました。光学的指標による光合成量の推定は、これまでも多くの先行研究がありますが、本研究で開発した手法は、光合成の際のクロロフィル蛍光及び熱放散の指標を用いており、生化学的なメカニズムに基づく新しいものです。光合成は、植物が光エネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)を吸収し炭水化物を合成する反応です。より大きいスケールでは、光合成速度は陸上生態系がCO2を吸収する量や、農作物の成長量・収量を決定します。本研究で開発した手法は、地球スケールで人工衛星により観測される光学指標に応用することが可能です。今後は、この手法を用いて、本年10月29日に打ち上げられた日本の新しい人工衛星「いぶき2号」が観測するクロロフィル蛍光データから陸上生態系のCO2吸収量を推定することを予定しています。これにより、将来的に植物のCO2吸収量を広域で把握することが可能になり、パリ協定の実施に対する貢献も期待されます。
本論文は国際誌Plant, Cell and Environmentの電子版に掲載されました。また、本研究は文部科学省科学研究費補助金及び国立環境研究所GOSAT-2プロジェクトの支援を受けて行われました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130-2/20181130-2.html
12)第15回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM15)の結果について(お知らせ)
平成30年10月30日(火)~11月1日(木)に韓国の釜山において、第15回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM 15)が開催されました。
日韓中三カ国環境研究機関長会議(Tripartite Presidents Meeting, TPM)は、日本、韓国、中国における環境研究の一層の推進のため、3カ国の中核的環境研究機関である、日本の国立環境研究所(NIES)、韓国の国立環境科学院(NIER)、中国の中国環境科学研究院(CRAES)により、平成16(2004)年に第1回会合(中国・北京)が開催されて以降、毎年開催されているものです。
会議では、研究活動についての情報交換、3機関の協力関係を強化する方策等について議論を行いました。また、TPM 15のプログラムの一環として、10月31日(水)には、固体廃棄物の管理及び処理の現状と将来に関する国際ワークショップが開催されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130/20181130.html
13)2017年度(平成29年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について
環境省と国立環境研究所は、今般、2017年度の我が国の温室効果ガス排出量(速報値)をとりまとめました。2017年度の温室効果ガスの総排出量は12億9,400万トン(二酸化炭素(CO2)換算)で、前年度比1.0%減(2013年度比8.2%減、2005年度比6.2%減)でした。前年度からの減少要因としては、太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギーの導入拡大や原子力発電所の再稼働等によるエネルギーの国内供給量に占める非化石燃料の割合の増加等のため、エネルギー起源のCO2排出量が減少したこと等が挙げられます。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130-3/20181130-3.html
【刊行案内】
1)地球環境研究センターニュース2018年12月号「熱帯林内の微環境変化とその生態的影響を追う-マレーシア熱帯林における実生と稚樹の長期観測-」発行
http://www.cger.nies.go.jp/cgernews/
2)高校生も楽しめる資源循環・廃棄物研究情報誌オンラインマガジン環環2018年11月号「プラスチック資源循環戦略策定の議論に参加して」「災害ごみの排出について」が公開されました。
http://www-cycle.nies.go.jp/magazine/top/201811.html
【イベント案内】
1)第46回「環境賞」のご案内
http://www.nies.go.jp/event/2018/jqjm1000000eal9o.html
【その他】
1)微生物系統保存施設のInstagramアカウントを開設しました
https://www.nies.go.jp/snsindex.html#block4
2)釧路市で国立環境研究所地球環境セミナー「地球温暖化とわたしたちの将来」を開催しました
http://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2018/181101.html
3)郡山市出前講座を開催しました
https://www.nies.go.jp/fukushima/demaekoza.html#tab4
4)湖沼長期モニタリングの成果や今後の展望を伝えました ~第17回世界湖沼会議への出展報告~
http://www.nies.go.jp/event/2018/jqjm1000000ewesa.html
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1)CONG Richao特別研究員・伊藤室長・平田主任研究員・齊藤主任研究員・MAKSYUTOV高度技能員がBest Poster Honorary Mention Certificateを受賞
受賞者氏名:CONG Richao・伊藤昭彦・平田竜一・齊藤誠・Shamil MAKSYUTOV(地球環境研究センター)
賞の名称:Best Poster Honorary Mention Certificate
授賞機関:Technical Commission IV International Society for Photogrammetry and Remote Sensing
受賞年月日:2018年10月05日
受賞対象:Exploration on quantifying carbon dioxide (CO2) emission from road traffic in megacity,Geo delft 2018, Int. Arch. Photogramm. Remote Sens. Spatial Inf. Sci. ,LXII, (4), 115-119,2018
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2)CHEN HE特別研究員が日本都市計画学会・論文奨励賞を受賞
受賞者氏名:CHEN HE(社会環境システム研究センター)
賞の名称:日本都市計画学会 論文奨励賞
授賞機関:公益社団法人・日本都市計画学会
受賞年月日:2018年06月01日
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180601_1.html
3)鈴木薫特別研究員・多島良主任研究員らが優秀ポスター賞を受賞
受賞者氏名:鈴木薫特別研究員・多島良主任研究員(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:優秀ポスター賞を受賞
授賞機関:廃棄物資源循環学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象:超高齢社会におけるごみ集積所管理の実態と課題の整理,第29回廃棄物資源循環学会研究発表会, なし , 69-70,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180913/20180913-1.html
4)「所内公募・分野横断PM研究グループ」の15名最優秀論文賞を受賞
受賞者氏名:富山 一・田邊 潔・茶谷 聡・小林 伸治・藤谷 雄二・古山 昭子・佐藤 圭・伏見 暁洋・近藤 美則・菅田 誠治・森野 悠・早崎 将光・小熊 宏之・井手 玲子・高見 昭憲
賞の名称:最優秀論文賞
授賞機関:大気環境学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象: 野焼き発生の時間分布調査および稲作残渣野焼きによる大気汚染物質排出量の日変動推計,大気環境学会誌 ,52 (4), 105-117,2017
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180913-1.html
5)倉持 秀敏 室長が優秀口頭発表賞を受賞
受賞者氏名:倉持 秀敏(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:優秀口頭発表賞
授賞機関:環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会
受賞年月日:2018年08月06日
受賞対象:除染廃棄物等焼却飛灰に対する灰溶融の基礎的検討,第7回環境放射能除染研究発表会, 予稿集 , 38,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20180806/20180806.html
6)吉田 崇紘特別研究員・山形与志樹主席研究員らが優秀研究発表賞を受賞
受賞者氏名:吉田 崇紘・山形 与志樹(地球環境研究センター)
賞の名称:優秀研究発表賞
授賞機関:東京大学空間情報科学研究センター
受賞年月日:2018年11月03日
受賞対象:ビッグデータを活用した空間詳細なCO2マッピング,東京大学空間情報科学研究センター全国共同利用研究発表大会:CSIS DAYS 2018, 研究アブストラクト集 ,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181103-1.html
7)吉田 崇紘特別研究員がGIS学会賞(研究奨励部門)を受賞
受賞者氏名:吉田 崇紘(地球環境研究センター)
賞の名称:GIS学会賞(研究奨励部門)
授賞機関:一般社団法人地理情報システム学会
受賞年月日:2018年10月20日
受賞対象:地理情報システムに関する学術論文の業績が優れた前年度末日までに35才以下の者
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181020-1.html
8)中島謙一主任研究員・南齋室長・高柳高度技能専門員がThe Best Poster Awardを受賞
受賞者氏名:中島 謙一・南齋 規介・高柳 航(資源循環・廃棄物研究センター)
賞の名称:The Best Poster Award
授賞機関:The 13th Biennial International Conference on EcoBalance
受賞年月日:2018年10月12日
受賞対象:Global Distribution of Hidden Flows Induced by Consumption of Metals: Iron, Copper, and Nickel,The 13th Biennial International Conference on EcoBalance, - ,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181012-1.html
9)篠原 隆一郎主任研究員が吉村賞を受賞
受賞者氏名:篠原 隆一郎(地域環境研究センター)
賞の名称:吉村賞
授賞機関:日本陸水学会
受賞年月日:2018年10月07日
受賞対象:湖沼河川におけるリンの動態に関する研究に対して
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181007-1.html
10)風間 健宏特別研究員がBest pesentation awardを受賞
受賞者氏名:風間 健宏(地域環境研究センター)
賞の名称:Best presentation award
授賞機関:17th World Lake Conference
受賞年月日:2018年10月22日
受賞対象:Relative importance of physical and biological factors regulating tintinnid populations: a field study with frequent samplings in Sendai Bay, Japan,17th World Lake Conference, Abstracts , 282,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181130.-1.html
11)横溝主任研究員・深谷特別研究員が第34回個体群生態学会ポスター賞(最優秀賞)を受賞
受賞者氏名:横溝 裕行主任研究員,深谷 肇一特別研究員
賞の名称:第34回個体群生態学会ポスター賞(最優秀賞)
授賞機関:個体群生態学会
受賞年月日:2018年10月06日
受賞対象:Analysis of flow matrices describing inter-stage flows of individuals using randomly generated population matrices.,第34回個体群生態学会, Abstracts , 34,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181129_1.html
12)河野 なつ美特別研究員が第59回大気環境学会年会ポスター賞を受賞
受賞者氏名:河野 なつ美(地域環境研究センター)
賞の名称:第59回大気環境学会年会ポスター賞
授賞機関:大気環境学会
受賞年月日:2018年09月13日
受賞対象:日本全国における大気汚染物質の長期変化トレンドの統計的解析,第59回大気環境学会年会, 同予稿集 , 354,2018
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2018/20181129-2.html
【報道発表】
1)気候変動適応法施行記念国際シンポジウムの開催について
気候変動の影響はすでに顕在化しており、今後その影響が増大することが予測されています。このため、その影響を回避・軽減する適応策の取組が一層求められています。こうしたなか、平成30年度12月1日に「気候変動適応法」が施行される運びとなりました。 これを受け、環境省と国立環境研究所の共催で気候変動適応法施行記念国際シンポジウム「地域は気候変動にどう備えるか?」を開催することとなりましたのでお知らせいたします。
本シンポジウムが気候変動への影響とその適応に関する理解を深め、地域での取組促進の一助になれば幸いです。 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181105/20181105.html
2)10年間の民間旅客機観測(CONTRAIL)によりアジア太平洋地域の大気中二酸化炭素分布の三次元構造を解明-アジアモンスーン高気圧による隔離と流出が明らかに-
日本航空の旅客機を利用した温室効果ガス観測プロジェクト(CONTRAILプロジェクト*1)で取得された10年間にわたる大量の観測データを解析することによって、これまでは断片的にしか捉えられていなかったアジア太平洋地域における大気中CO2濃度の分布を三次元的に明らかにしました。アジア太平洋地域特有のCO2濃度の分布には、シベリア域の森林によるCO2の吸収やアジアの化石燃料起源の排出の影響とともに、夏季のアジアモンスーンに伴う大気輸送が重要な役割を果たしていることが明らかになりました。アジア地域ではこれまで地上でのCO2濃度の観測でさえ非常に限られたデータしかありませんでしたが、CONTRAIL観測はアジア太平洋地域におけるCO2濃度変動の実態把握を大きく進展させ、アジア地域の炭素循環の理解に大きく貢献するものと期待できます。
本研究の成果は、2018年10月17日に、欧州地球科学連合のAtmospheric Chemistry and Physicsに掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181106/20181106.html
3)妊娠期間中母親血中カドミウム及び鉛と妊娠糖尿病との関連について:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)における研究
環境省及び国立環境研究所では、公立大学法人名古屋市立大学(以下「名古屋市立大学」という。)をはじめ全国15大学・機関(ユニットセンター)ともに、子どもの発育や健康に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにし、次世代の子どもたちが健やかに育つことのできる環境の実現を図ることを目的として、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っています。
今回、平成28年4月にデータが確定した約2万人の母親の血中カドミウム及び鉛と妊娠糖尿病との関連を調べた結果、両者には関連が認められませんでした。また、従来の報告と同様に、母親の高齢、肥満、過去に妊娠糖尿病にかかった経験があることは、妊娠糖尿病の予測因子であることが確認されました。
本成果は、平成30年10月30日に環境保健の国際専門誌である「International Archives of Occupational and Environmental Health」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181112/20181112.html
4)水生植物を効果的に保全するには?: 種の生活史特性を考慮した保全対象地の選択が有効
国立環境研究所と国立大学法人東京農工大学、学校法人東邦大学、学校法人常葉大学は、東広島市西条盆地の415のため池に生育する水生植物62種の過去37年間の在・不在データを解析し、一度池から消失した水生植物種が再び出現(個体群が回復)する頻度を明らかにしました。さらに、この再生プロセスを考慮して保全対象とするため池を選定した場合、それらを考慮しない場合に比べて少ない数のため池でより多くの種を効果的に保全できることを明らかにしました。本研究は、生物が持つ生活史特性※1と個体群動態を考慮した保全計画を実施することが重要であることを明らかにした初めての研究です。
本成果は英国生態学会の学術誌Journal of Applied Ecology誌電子版に2018年11月13日(日本時間13時)に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181113/20181113.html
5)半永久的に細胞増殖可能なヤンバルクイナ由来細胞の樹立 鳥類細胞の細胞増殖制御機構の一部を解明!
国立環境研究所、国立大学法人岩手大学、国立研究開発法人国立がん研究センター研究所を中心とする研究グループは、ニワトリとヤンバルクイナの細胞に「変異型CDK4注1, CyclinD注2, TERT」遺伝子を発現させることで、細胞の寿命を大幅に遅延できることを発見しました。さらに、これらの遺伝子導入細胞から、半永久的に細胞増殖が可能な「無限分裂(不死化)細胞」注3を樹立することに成功しました。特に、ヤンバルクイナ由来の無限分裂細胞は、世界初の絶滅危惧鳥類の無限分裂細胞の樹立であり、極めて貴重な生物資源の樹立に成功したことを意味します。
国立環境研究所では、ヤンバルクイナをはじめ、国内に生息し絶滅が危惧されている多くの野生鳥類から取得した細胞の保存を進めています。絶滅危惧種は、細胞のサンプリングの機会が限定されているため、細胞寿命の延長さらには無限分裂細胞樹立は絶滅危惧種由来細胞の研究資源化において重要な課題です。本研究で樹立した無限分裂細胞は取り扱いが簡便であるため、絶滅危惧種を取り巻く感染症や汚染物質などのリスクを、細胞レベルで比較的簡便に評価することが可能です。
本成果は、2018年11月11日に「Journal of Cellular Physiology」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181116/20181116.html
6)地球温暖化は多様な災害の増加と同時発生をもたらし世界の多くの人に影響を与える
芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)土木工学科平林由希子教授と国立環境研究所(茨城県つくば市/理事長 渡辺知保)地球環境研究センター花崎直太主任研究員は、ハワイ大学のモラ教授の取りまとめのもと、太平洋島嶼国気候変動協同体、コーネル大学、米国農務省森林局、レディング大学、ルンド大学、AER社、ケンブリッジ大学、サウサンプトン大学、プリンストン大学、ウィスコンシン大学、マサチューセッツ工科大学と共同で、地球温暖化が多様な気候関連災害を増加させることで、健康、食料、水、経済、インフラ、安全保障といった主要な人間システムに大きく影響することを示しました。気候関連災害は、地球温暖化によって強度が増加するうえ、複数の災害が同時に生じることによって、先進国と途上国の多くの人間に影響を与えることが明らかになりました。
※本研究成果は、Nature Climate Change誌に掲載されました(世界標準時間2018年11月19日16時オンライン版)。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181116-2/20181116-2.html
7)地球温暖化への適応策として屋外労働の時間帯変更の効果を推計-増大する暑熱ストレスに対して時間帯変更のみの効果は限定的-
国立環境研究所、国立大学法人京都大学、国立大学法人筑波大学の研究グループは、地球温暖化による暑熱ストレスの増大が屋外の労働者に対して与える影響を軽減するために、労働時間帯を早朝にシフトさせる対策をとることによる効果を検証し、論文として発表しました。
検証の結果、仮に温室効果ガスの排出削減が全く行われずに地球温暖化が進行した場合、21世紀後半に暑熱ストレスのレベルを現状と同程度に保ち、経済的影響を避けるためには世界全体の平均ではおよそ6時間程度、労働開始時間を早める(現在の始業時刻が午前9時であれば、午前3時以前に始業時刻を前倒しする)ことが必要であることが分かりました。この結果は、地球温暖化に対する対策として労働時間帯の変更だけで対処することは非現実的であり、地球温暖化そのものを防ぐ対策(緩和策)や、労働時間帯シフト以外の様々な対策(適応策)との組合せが不可欠であることを示唆しています。
この研究成果は、米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の発行する学術誌 Earth’s Future に11月21日付け(現地時間)で掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181121/20181121.html
8)国立環境研究所気候変動適応センターの設立について
国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)は、気候変動適応法(平成30年法律第50号)の施行に合わせ、平成30年12月1日に、気候変動適応に関する業務や研究を実施するための拠点として、気候変動適応センターを設立しますのでお知らせいたします。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181122-3/20181122-3.html
9)多すぎると余り、馴染みのものはよく使う-山菜・薬草の利用供給バランスは気候・社会的な影響を受ける-
国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)は、国産天然物の山菜・薬草における利用供給バランスが地理的に変化することを世界で初めて明らかにしました。全国的に供給に比べて利用が少ない中、森林が多い県では特に利用が少なく、雪の多い県では利用が多いことが分かりました。これは気候・社会的な影響によって生態系サービスの利用供給バランスが変化することを表しています。この知見は、過剰利用の注意や未利用資源の開発など、持続可能な生態系管理に繋がるものと言えます。また今回新たに提案した指標 (Over- and Under-use Index) は、簡便で広く適用できるため、他の生物資源の評価においても今後期待できます。
本成果は、平成30年10月16日に「Ecological Indicators」に掲載されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181122/20181122.html
10)子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)「第8回エコチル調査シンポジウム」の開催について(お知らせ)
環境省及び国立研究開発法人国立環境研究所は、子どもの発育に影響を与える化学物質等の環境要因を明らかにし、次世代の子どもたちが健やかに育つことのできる環境の実現を図ることを目的として、2011年1月から「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を行っており、今年で8年目を迎えました。
今般、エコチル調査で得られた成果やその活用方法を国民の皆さまにわかりやすくお伝えすることを目的に、第8回エコチル調査シンポジウムを2019年1月19日(土)に日本科学未来館(東京都江東区)で開催します。
シンポジウムへの一般参加の受付は、本日から2019年1月11日(金)までとなります。参加御希望の方は、下記を御参照の上、添付の申込用紙に必要事項を御記入いただき、お申し込みください。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181127/20181127.html
11)リモートセンシングによって観測可能な光学データによる植物の光合成速度推定方法の開発
国立大学法人東北大学大学院生命科学研究科の彦坂幸毅教授及び国立環境研究所の野田響主任研究員は、葉1枚での実験を通じて、リモートセンシングにより観測可能な光学データから植物の光合成速度を高精度で推定する新しい手法を開発しました。光学的指標による光合成量の推定は、これまでも多くの先行研究がありますが、本研究で開発した手法は、光合成の際のクロロフィル蛍光及び熱放散の指標を用いており、生化学的なメカニズムに基づく新しいものです。光合成は、植物が光エネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)を吸収し炭水化物を合成する反応です。より大きいスケールでは、光合成速度は陸上生態系がCO2を吸収する量や、農作物の成長量・収量を決定します。本研究で開発した手法は、地球スケールで人工衛星により観測される光学指標に応用することが可能です。今後は、この手法を用いて、本年10月29日に打ち上げられた日本の新しい人工衛星「いぶき2号」が観測するクロロフィル蛍光データから陸上生態系のCO2吸収量を推定することを予定しています。これにより、将来的に植物のCO2吸収量を広域で把握することが可能になり、パリ協定の実施に対する貢献も期待されます。
本論文は国際誌Plant, Cell and Environmentの電子版に掲載されました。また、本研究は文部科学省科学研究費補助金及び国立環境研究所GOSAT-2プロジェクトの支援を受けて行われました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130-2/20181130-2.html
12)第15回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM15)の結果について(お知らせ)
平成30年10月30日(火)~11月1日(木)に韓国の釜山において、第15回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM 15)が開催されました。
日韓中三カ国環境研究機関長会議(Tripartite Presidents Meeting, TPM)は、日本、韓国、中国における環境研究の一層の推進のため、3カ国の中核的環境研究機関である、日本の国立環境研究所(NIES)、韓国の国立環境科学院(NIER)、中国の中国環境科学研究院(CRAES)により、平成16(2004)年に第1回会合(中国・北京)が開催されて以降、毎年開催されているものです。
会議では、研究活動についての情報交換、3機関の協力関係を強化する方策等について議論を行いました。また、TPM 15のプログラムの一環として、10月31日(水)には、固体廃棄物の管理及び処理の現状と将来に関する国際ワークショップが開催されました。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130/20181130.html
13)2017年度(平成29年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について
環境省と国立環境研究所は、今般、2017年度の我が国の温室効果ガス排出量(速報値)をとりまとめました。2017年度の温室効果ガスの総排出量は12億9,400万トン(二酸化炭素(CO2)換算)で、前年度比1.0%減(2013年度比8.2%減、2005年度比6.2%減)でした。前年度からの減少要因としては、太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギーの導入拡大や原子力発電所の再稼働等によるエネルギーの国内供給量に占める非化石燃料の割合の増加等のため、エネルギー起源のCO2排出量が減少したこと等が挙げられます。
http://www.nies.go.jp/whatsnew/20181130-3/20181130-3.html
【刊行案内】
1)地球環境研究センターニュース2018年12月号「熱帯林内の微環境変化とその生態的影響を追う-マレーシア熱帯林における実生と稚樹の長期観測-」発行
http://www.cger.nies.go.jp/cgernews/
2)高校生も楽しめる資源循環・廃棄物研究情報誌オンラインマガジン環環2018年11月号「プラスチック資源循環戦略策定の議論に参加して」「災害ごみの排出について」が公開されました。
http://www-cycle.nies.go.jp/magazine/top/201811.html
【イベント案内】
1)第46回「環境賞」のご案内
http://www.nies.go.jp/event/2018/jqjm1000000eal9o.html
【その他】
1)微生物系統保存施設のInstagramアカウントを開設しました
https://www.nies.go.jp/snsindex.html#block4
2)釧路市で国立環境研究所地球環境セミナー「地球温暖化とわたしたちの将来」を開催しました
http://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2018/181101.html
3)郡山市出前講座を開催しました
https://www.nies.go.jp/fukushima/demaekoza.html#tab4
4)湖沼長期モニタリングの成果や今後の展望を伝えました ~第17回世界湖沼会議への出展報告~
http://www.nies.go.jp/event/2018/jqjm1000000ewesa.html
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