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Vol.625 窓やベランダからの転落に注意 - 子ども自身が危険性を認識していない例も

  • 図左:子どもがベランダの柵から身を乗り出しているイラスト
  • 図右:子どもがソファーの背もたれ部分に乗り網戸を押したところ、はずれてしまっているイラスト

人口動態調査によると、令和3年の1年間に4歳以下の子ども8人が、建物から転落(1)して亡くなっています。東京消防庁のまとめ(2)では、月別の救急搬送人員は、5月が最多であり、過ごしやすく窓を開ける機会が多いこれからの季節は、特に注意が必要です。

消費者庁・国民生活センターには医療機関(3)から、窓やベランダから子どもが転落する事故の情報が寄せられています。保護者が目を離したわずかな時間に起きた事例、保護者が危険性を認識しながら対策ができていなかった事例、子どもが自分の行動の危険性を認識できていないと思われる事例もみられます。

  • 「集合住宅の3階の自宅で、保護者が郵便物を取りに1階に行く際、子どもだけが部屋に残った。約1分後に戻ると、子どもがおらず、ベランダに通じる窓が開いていた。外を見ると土の地面の上に子どもが仰向けに倒れており、救急要請した。背中などを打っており、肝臓損傷の疑いのため全身の経過観察目的で約1週間の入院となった。事故時は、洗濯物を干した直後で、窓は閉めていたが鍵をかけ忘れており、ベランダの柵の近くに植木鉢など踏み台になるものが置かれていた。これまで子どもがベランダに出たがることはなかった。」(3歳)
  • 「保護者が台所で洗い物をしている間、ベランダに面するリビングで子ども2人が遊んでいた。子どもの声がしないため様子を見ると、網戸が開けられており、3m下の地面で泣いていた。柵の隙間から落ちたと考えられた。高エネルギー外傷のため経過観察目的で約1週間の入院となった。普段から子どもにベランダに出ないように言い聞かせており、ベランダには踏み台になる物は置いていなかった。柵の間隔は設計図面の11cmより広い15cmあることは認識しており、ネットを張るように言われていたがやっていなかった。」(2歳)
  • 「自宅2階の部屋で年上の子どもと一緒に遊んでいた。本人が窓際に椅子を移動させて登り、窓枠に腰かけた。網戸にもたれかかってぼよんぼよんと反動で遊んでいたところ、網戸が外れ、窓枠から外のウッドデッキの上に落下した。顔面や骨盤の骨折、内臓損傷を負い集中治療室へ入院となった。」(5歳)
  • 「自宅2階の部屋で、子ども2人が二段ベッドや出窓に上って遊んでいた。カーテンがかけられた出窓が開いていることを知らずに手をついたところ、外のウッドデッキの上に落下した。頭蓋内出血、頭部や顔面の骨折などを負い、集中治療室に入院となった。」(4歳)

安全に配慮して設計・管理された遊具であれば、子どもが遊びの中で小さなリスクに挑戦し、経験的に危険を予測し、事故を回避する能力を育む手助けになります。一方で、窓やベランダの周辺を遊び場にすることは、子どもが認識し得ない危険があり、一歩間違うと致命的な事故につながるおそれがあることを、保護者が認識することが大切です。

高層階になるほど落下時の衝突のエネルギーも大きくなり重症度も高くなりますが、2階からの転落が最も多い(2)ため、階数を問わず事前の対策を心掛けてください。

<窓やベランダ周辺の環境づくり>
  • 子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないように、手の届かない位置に補助鍵を付ける
  • 窓やベランダの手すり付近に、足がかりになるような物を置かない
    • 窓の近くにソファなどの家具、ベランダの手すり付近にプランターなどを置かない
    • ベランダに椅子やテーブルなどを手すりから離して置いていても、子どもが移動させて足がかりにすることも考えられるため、使用後には室内に取り込むなど、置きっぱなしにしない
    • エアコンの室外機の設置場所を見直す場合は、手すりから60cm以上離すか、上からつるす
  • 窓、網戸、ベランダの手すり等に不具合がないか定期的に確認(※4)。安全に配慮された設備を導入する

国土交通省では、共同住宅(分譲マンション及び賃貸住宅)を対象に、転落防止の手すり等の子どもの安全確保等に資する設備の設置等に対する支援事業を、今年度も実施します。募集の詳細等は以下のページでお知らせされる予定です。

このほか、自治体で独自に実施される取組もあります(5)。

<子どもの見守り・子どもの教育>
  • 小さな子どもだけを家に残して外出しない
  • 窓を開けた部屋やベランダでは小さな子どもだけで遊ばせない
  • 窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない
  1. (1)一般的に「転落」事故と「墜落」事故の2つの表現がありますが、ここでは、墜落事故を含めて転落と表現しています。
  2. (2)東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意!」(別ウィンドウで表示します)
  3. (3)消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関(令和5年4月現在で32機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)。
  4. (4)(一社)リビングアメニティ協会「住宅部品をチェックしよう!」(別ウィンドウで表示します)
  5. (5)東京都「「子供を守る」住宅確保促進事業」(別ウィンドウで表示します)
(参考)
過去の関連メール

担当:消費者安全課