※名刺交換させて頂いた方に送信させて頂いております。
※今回のメールの最後のオマケは『ぼんやり座っているだけで学べた新人時代』の話デス。

こんにちは。
グラフィックファシリテーター(R)やまざきゆにこです。

上の絵は、今年、緊急事態宣言中に色んなワークショップで本当によく描いた声なのですが、時短要請も解除され、「夜も忙しくなってきた」という方も多いのでは。下戸なわたしもウキウキです。ただ、組織の本質的な問題は、飲み会だけでは解決しないのもまた事実。特にコロナ禍で新たに描くようになった絵の中で、この1年、とっても気になっているのが下の絵です。

「これじゃまるで業務委託と変わらない」

これらの多くは、上司から仕事を振られ、一人在宅で仕事をする一般職の人たちから描けてきた絵。「他の人たちが何をしているか見えない」「上司が頼みやすい人にばかり仕事を振って不公平を感じる」そんな声から描けてくるこの絵。これを見て、どんな感じを受けますか?他人事?自分事?

いろんな会社の管理職の方たちに、この絵の話をすると「うちの営業メンバーはいい意味で業務委託みたいな意識で働いているよ」「副業も当たり前になるしね」とか「実はコロナ前からそう感じてたかも。出社してた時もみんな静かにそれぞれ仕事をして帰ってたし」とか「お客さまの組織はまさにこんな感じで困ってます」と反応はさまざま。「うちのメンバーはそこまで思ってないと思うけど」という声も多いですが、そう思っている上司のいる組織で描けてきた絵であるのもまた事実。

わたしはといえば、この絵を描くたびに「悲しい!寂しい!淋しすぎる~!」と叫んでます。だってこれじゃ、「せっかく組織に属しているのに」一人で働くわたしと変わらないから。

グラフィックファシリテーションの現場では、そんな「現在のネガ」の状態を放置したら、さらにどんな最悪な未来が起きるのか「未来のネガ」まで話し合ってもらうのですが、必ずといっていいほど「何のために仕事しているんだっけ」と会社を辞めて行く人と、「自宅で一人鬱々と言われたことをこなすだけの人」に2極化し、最後は「ぜんぶAIに任せればよくない?」という絵に落ちていきます。

組織の水面下で起きている、このほっとけない問題に、絵筆から危機感しか感じません。そして毎回、この「問い」を投げ掛けずにはいられません。

1人でも幸せに働いていける時代だけど、どうして、その会社で、その仲間と一緒に働いているんですかー?

実際に、ちょうど1年前の10月ごろから、この「問い」をいろんなワークショップの副題にしてもらっています。テーマが、組織ビジョン策定でも、リーダー育成研修でも、新しいオフィス設計検討でも。それは、同じ危機感を共有できるリーダーの方たちと出会っているから、とも言えます。

改めて、みなさんにとって、今の会社で今の仲間と「共に働ける価値」って、なんですか。また、それを仲間と共有していますか。

ちなみに私は(企業で働いたのは10年間だけですけど)一人で働くようになって思うのは、あの「職場でぼんやり座っていても体感できた何気ない日常すべて」が「共に働ける価値」でした。

例えば、先輩が電話の向こうのお客さまと話している中身や言葉遣いを聞きながら、でもそのふんぞりかえった姿勢を見て「ああはなるまい」と思ったり。。。

例えば、「こんな広告つくりたいよなあ」と言う先輩の声に、みんなが集まってきて、いろんな持論を聞いて、そんな見方もあるのかと驚いたり。

例えば、新人時代、隣りの席で同期が上司に叱られているのを見て、それでも飛び込み営業に出かけず企画書作りにこだわる姿を見て、言われた通りのことを鵜呑みにして行動していた自分の意志の無さに気付かされたり。

見たくて見たわけでも、聞きたくて聞いたわけでも、言われたくて言われたわけでもないこと含めて、見えること、聞こえること、言われること。そんな普段のやりとりの1分1秒が、今となってはお金を払っても得られない「共に働ける価値」でした。

成功体験や失敗体験といった大きな出来事よりも、日々の予期せぬ体験の「連続」の中でいろんな考え方を知り、今の自分は創られている。そんな感覚、ありませんか?

皆さんが、コロナ前に「共に働ける価値」を感じた些細な日常って、どんなシーンを思い出しますか? 新人時代にはどんな思い出、ありますか? 今こそ是非、語ってほしいです。

在宅が当たり前になった今の1年目、2年目の新入社員の方たちはもう語れないんです。転職者の方たちも、異動してきた人も、それは知らない体験です。

しかも、今はどの企業も、欲しい情報は社内のクラウド上に揃っていて、自分から探しに行くのが当たり前。出社してもフリーアドレス。コロナ禍で出社しても、会いたい人には会えないオフィス。

そして「共に働ける価値とは?」と問いかけると、議論は「ビジョンやパーパスを再定義しよう」とか、「新しいテクノロジーで新しい働き方を提案する次世代オフィスのあり方とは」とか、「在宅か、出社か」で生産性やエンゲージメントいった測定できる話になりがちです。

理想の未来は描けても、その新しい会議システムで「まるで業務委託みたい」というナミダは本当に拭えるのかなあ。「今」と「未来」の絵巻物がつながらないと、みんなは腹落ちしてくれません。

これまでの働き方や会議の仕方は「無駄だ、非効率だ」と言われがちで、「昔話を語っちゃいけない」みたいな雰囲気もありますが、コロナ前を思い出すと、「共に働く価値」って、もっ多様で豊かで「測りきれない」良さでいっぱいでしたよね。

ただ、それらが今の議論に負けているのは、そもそも「言語化されていない」のが問題です。話してくれないと絵にもできない。

絵巻物の上に、その会社のみんなが、未来にも持っていきたい、大事にしたい「普遍的なこと」が描けてくるのは、何気ない「体験」の中からだったりします。

過渡期の今こそ、まずは身近な仲間と「やっぱり対面っていいよねー」という会話から、コロナ前には当たり前にあった「共に働ける価値」「この会社で、この仲間と働ける幸せ」をぜひ言語化してほしいです。

「一人の武勇伝」は嫌われるけど、「共に働ける価値」を実感するエピソードは、若い子にも人気です。エンターテインメントの世界で昭和な世界感が再燃しているように、働く現場でも良い意味の昭和感には、世代を超えて、同じ会社の人だから分かる共感ハートが描けます。

みんなが「それ、いいね」「大事だよね」と共感できることこそ、新たな従業員体験(EX)に組み込んでいけると、「過去と今と未来」がハートでつながる御社らしい絵巻物が描けてきます。

【データサイエンス用語を2分で解説vol.5】
ビル・ゲイツの発言で再注目「ベイズ統計
(※下の画像をクリックすると詳細&動画ページに飛びます)

野村総研さんがビジネスパーソンにこれだけは知っておいてほしい今トレンドの「データサイエンス用語」を解説する(絵巻物)動画 第5弾「ベイズ統計」。ちなみにベイズとは統計学者さんのお名前。動画の中に似顔絵を描いておきましたので見てみてください。250年以上も前にあった考え方が、ビッグデータを扱えるようになった今の時代に使われたことが「話題になっている」理由の1つだそう。

例えば、日々送られてくる迷惑メールをフィルタリングするときに使われている考え方が「ベイズ統計」。ということで【いきなりですが問題です】あなた宛てに届いたメールに「無料」という表記があったら、「それが迷惑メールかどうか」あなたならどう判断しますか? 回答は動画にて。詳細&動画は→  こちらから

オマケ
【ぼんやり座っているだけで学べた新人時代】

わたくしごとですが、新人時代で思い出す、他人から見たらどうでもいいシーンの1つは、入社してまだ3か月、ある日の夕方。上司から

「ゆに、話があるから飲みに行くぞ」

と言われました。当時、飛び込み営業をしていたわたしは帰社してからやることが溜まっていて、明日の準備も手付かず状態。カバンを持って立ち上がっている上司に、わたしは椅子に座ったまま資料を抱いて

「まだ会社を出られないので、話があるならここで聞きまーす」

と言ったら、、、、、、烈火のごとく叱られました。

「酒を飲まなきゃ話せないこともあるんだよ!」
「へ?!」(←目が点)

「お酒を飲めないと、話せないことがあるんですか?!」

この一部始終を、周りのみんなは聞いてました。見てました。大笑いされました。いつもすべてが筒抜けでした。当時、学生飲みしか知らない且つ下戸なわたしが「お酒を飲む大人の気持ちを全然分かっていなかった」というだけのことですが。

そんな突然降って湧いてくる、職場での日々の些細なやりとりの中に、多種多様な学びがありました。あの一喝(?)が無かったら、間違いなくデリカシーの無い発言でお客さまに失礼を重ねていただろうなーとか。

その晩、居酒屋で聞いた上司の話の中身は全く思い出せませんが、もう誰も居ないオフィスに戻ったら、机の上にチョコレートと一緒に「おかえり。早く帰りなね」という付箋が貼ってありました。その手書き文字から、誰が書いてくれたのか分かりました。(こういう体験、分かる方には分かりますよね)

次の日の夕方には、隣りのグループの先輩たちが「飲みに行くぞ」と連れ出してくれました。昨日のやりとりを見てた先輩から「ゆに、Oさん(上司)は繊細なんだよ」と教えられ、「へー!人は見かけによりませんね!」と驚いたら「おまえ、何様だ」と大笑いされました。

小さな常識の中で生きてきたわたしの狭い思い込みを、ガツーン、バッリーンと破壊してもらいました。知らないって恐ろしいです。人それぞれの見方や考え方の違いを知ることで、自分が確立されていった感覚です。

先輩たちからは他にも色んな話を聞かされました。わたしの居るグループは小さくまとまっていてつまらなく見えるとか、部全体は今2つの方向性に進もうとしている話とか。

じぶんから聞き出そうとしても、聞けない話や思いや考え方を、全身でいっぱい浴びることができるのは、組織に属している特権の1つ。

本当にうらやましいーーーっ!

またメールします。

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1つに(Unify)なあれ。
株式会社ユニファイナアレ
グラフィックファシリテーター(R)やまざきゆにこ