GF.jp 具体的な絵に描けないアヤシイAIとアヤシイDX。
2021/10/10 (Sun) 17:27
※名刺交換させて頂いた方に送信させて頂いております。
※YouTube動画「データサイエンス用語」第3弾のお知らせはメールの最後に。
こんにちは。
グラフィックファシリテーター(R)やまざきゆにこです。
上の画像にも書きましたが「ディープラーニング」のディープって「深い」じゃないってご存知でしたか?今回の用語解説は、わたしがレクチャーを受けて、一番ビックリ目からウロコだった「ディープ」のお話からスタートです。「ディープ」の意味を知っておくだけでも理解が深まるのではないかと。
あわせて、もう一つ質問です。「AI」と「機械学習」と「ディープラーニング」。この3つの違いって、言えますか?わたしはというと「へ?そもそも、この3つを比較することすら考えもしなかった!」というくらいボンヤリしてました。3つの違いについても動画の最後に解説していますので、どうぞお見逃しなくです。
詳細&動画は こちらから→https://www.graphic-facilitation.jp/ds4/
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さて、メールの表題には「具体的な絵に描けないアヤシイAIとアヤシイDX」と書きましたが、だから面白いんですよね~というお話。
そもそも「AI」という言葉を、絵巻物によく描くようになったのは2016年から。下の絵は当時、描いた絵の1つです。ほとんどが未来ビジョンを語りあう場でした。
※当時のblog記事→「 2016年今年よく描く絵【AI暴走】」
https://www.graphic-facilitation.jp/20161003/
「AIってどんな絵を描けばいいんだろ?」と迷ってとっさに描いたのが上の絵なのですが、単に四角い機器に命を宿らせただけみたいな絵しか描けず…。ウ~ン、具体的に描けないこのAI…なんだかアヤシイ。
「ただの箱かもしれない」「箱の中は本当にちゃんと仕事してるの?」「何がスゴイの?どうしたらスゴイって分かるの?」「AIは何でも出来るみたいに語られているけど…ホント?!」
絵筆が「具体的にどんな絵を描けばいいんだろ?」と迷う時、たいていそれは「使いまわされた言葉を表面的に使って議論している、ぼんやりビッグワード」のサインです。
話し合っている皆さんはAIの専門家ではないので「そんなこと言ったって」というお顔をされてましたが、とにかく当時のAI議論はかなりフワフワした状態でした。
でも「具体的な絵に描けない」ことは、悪いことばかりではないんです。「多くの人が魅了されて追い求め続けたくなる、未来を感じる言葉」というサインもあるんです。全てがそうとは言い切れませんが、AIやDXはまさにそれ。絵に描けなくてアヤシイけど、どんな絵なんだろうと追いかけ続けたくなる世界観のある言葉。
追いかけ続けている「変遷」は絵巻物の上にも見てとれます。例えば、2018年頃からは「具体的に何をするAIなのか」が語られるようになって、絵巻物にもだいぶ具体的な絵が描けてきました。でもまた最近は「AI人材」という言葉が出てきて「それって、どんな絵?!」と絵筆が迷ったばかりです。
現場では「具体的な絵に描きたい~ッ」と吠えておりますが、その「描けない」苦しさが、楽しいというか、未来を感じるというか。「絵巻物は完成しなくていいんじゃないの。モヤモヤが進化することが大事なんじゃないの。それって未来に進んでる証だよ」と言われているようなビッグワードです。
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「DX」もまた「具体的にどんな世界を描けばいいの?」と絵筆が唸ってしまう言葉です。これには多くの方も実感されているのでは?「DX推進っていうけどさ」「ただのデジタル化だよね」エトセトラエトセトラ…。
絵巻物には2018年あたりから登場してまして、下の絵を見て頂くと、当時から「バズワード」「単語だけを追いかけている」とか「カスタマーには関係ない」という絵が描けています。
「AI」の絵と大きく違うのは、常に「経営層から成長・成果を期待されるプレッシャーが伴う絵」ということですかね。なんだかいっつも社員の皆さんが辛そうな絵です。
わたしが初めてこの言葉を聞いたとき、当時すでにデジタルという言葉には「どんな絵の状態を言ってる?」と悩まされていたので、トランスフォーメーションという単語にオドロキでした。「なんだこれ?」「トランスフォーメーションってどんな絵?」「なんでX?」「UXとは違うXって?」カッコいいような感じがするけれど…全然イメージが湧かない…アヤシイ…。
試しに「トランスフォーメーション」で画像検索をしたら、当時、映画の『トランスフォーマー』がズラッと出てきて「え?!こんなカクカクした感じで変形するってこと?!」と余計に分からなくなっちゃってました。
とはいえ絵巻物の上で最終的に描きたいのは「人」であることは変わらないので、当時よく話し手のみなさんには「絵巻物的には『デジタルな絵』だけじゃなくて、もっと柔らくて平仮名な感じで生活が『とらんすふぉ~めぇ~しょぉ~ん』する感じで描きたいです」と言ってました。
分かりにくいですネ。翻訳すると「技術の話だけじゃなく、人の暮らしがどう変わるかを話し合ってほしい」という意味。「あら!こんな便利になっちゃった」とか「昔○○してたなんて信じられないわねー」と、気づいたら新たな暮らしが当たり前になっている絵が描けたらいいなと。
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そんな勝手な要望をしていた3年前に比べたら、今は実際に「目に見える形で」日々情報が入ってくるので、描き手としてはめちゃくちゃ楽になりました。
例えば「○○テック」という名のもとに生まれるアプリやガジェットなど実際に手に触れられるものは増え、仮想都市、デジタルツインといった世界も、実在する百貨店やビル、街があちらの空間に見えたりするだけで、描くイメージが湧いてきました。中国のニュースを追いかければ、さらに進化したスマート工場やらスマートシティ構想やら。デジタル人民元やオンライン診療を実際に利用する人たちの生の声まで聴けて「実感値」がつかめることが何より有り難いです。
「それはDXじゃない」と言われるものもあるのかもしれないけれど、描き手としては、映画の『トランスフォーマー』しか出てこなかった頃に比べたら、宝の山。
DXとは何ぞや議論も「3段階だ」「5ステップだ」「6つの成熟度だ」…と、やや混乱気味ですけど3年前に比べたらずっと交通整理されてきた感じ。
でも、これだけそろっても「DX」でどんな未来を実現するかという話し合いで、みんなの認識をあわせるのは別問題。方法論が目的になりやすいし、正解は1つではないしで、まだまだ過渡期な感じです。時代とともに消えていったバズワードたち(※)に比べると、もうしばらく長引きそうです。
(※)消えていった=「最近、絵巻物に描かなくなったな~」というバズワードたち。例えば、「プラットフォーム(プラットフォーマー)」各社イメージが違うので描き出すのは大変だったけど、今となっては懐かしい~。
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ちなみに先日参加したセミナーで、アメリカの投資家さんは「こっちではDXという言葉はほとんど使いませんね」と言ってました。え?そうなの?!どこまで正しい情報かは分かりませんが、日本ではまだしばらく続きそう。
そんな「みんなが未来を感じている言葉」ほど「アヤシイ議論」とも隣りあわせなので、さいごに、ご参考までに、絵巻物的(?)ビッグワードの攻略法をご紹介して終わりますね。話し合いがモヤモヤしたときに使える(かもしれない)カンタンなものを2つほど。
一つは「DX(ディーエックス)」と略さない。「わが社が取り組むデジタルトランスフォーメーションは」と語ること。そうすると、その後に続く中身に「どこがトランスフォーメーションなんだ?」と自分で自分にツッコめるでしょ?
と言うと「そうですね」と一笑されて実行してもらえないのですが、ビジネスの議論で「DX」のように「略して語る」せいで思考停止を引き起こしていることは結構多いです。
例えば、あるセミナーで「VOC」「VOC」「ブイオーシー」と連呼されて具体的な絵に描けませんでした。「VOC」って何の略かご存知ですか?「ボイス オブ カスタマー」。そうと分かると途端に絵筆はお客さまの表情やセリフを描きたくなります。コンタクトセンターの価値をどう最大限に生かすかといったその日の議題も、「VOC」と略して語っているときは仕組みづくりの話ばかりでしたが、「お客さまの声」を活かす議論にがらりと変わりました。
最近は部署名でも似たようなことがよく起きています。例えば組織のビジョンを語り合うとき、「BI」ではなく「ビジネスイノベーション」とあえて言葉にするだけで、全く描ける絵巻物が変わってきます。皆さんの会社の組織や手元の資料にそんな略された英語はありませんか?
もう1つの絵巻物的ビッグワード攻略法は「AIは人工知能」「マシーンラーニングは機械学習」「ディープラーニングは深層学習」というようにカタカナだけで語らず「日本語」も声に出して言うこと。まさに今回の用語解説も「ディープラーニング=深層学習」から本当の理解が深まりました。
では「DX」の日本語訳はなんでしょう?
ネットで調べると出てきます。スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念だそう。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」。
これを読んだとき、わたしの絵筆は「『ITの浸透』ってことはITを絵に描かなくっていいんだ!なんて楽ちーん」と感激しました。「大事なのは、デジタルで、トランスフォーメーションした先の、幸せな人たちを描くことなんだ」。日本語訳のおかげで、絵巻物の原点、その言葉の原点に戻してもらうことは本当に多いです。
「具体的な絵に描きたい」とは、結局は「人」を描きたいだけなんです。その技術やサービスや施策が「人」にどう役立つの?嬉しいの?幸せにするの?そういったシーンまで思い浮かばないとき(議論されていないとき)、それが「具体的な絵に描けない」ということ。
ちなみにグラフィックファシリテーションを体感した方たちは、その後お会いすると「こんな話をするとまたユニさんに『絵に描けない』って言われちゃうんだけどさ~」とよくおっしゃいます。絵筆を持たなくても、もうすっかりグラフィックファシリテーターです。
モヤモヤしていたら、まずは英語の略語やカタカナ英語から、「なんか具体的な絵に描けないなあ~」と言っちゃってみてください。未来志向な話し合いの時ほど、目の前の話し合いが「具体的な絵に描けない」ことに気づくほうが、堂々巡りの議論を止めたり、本質的な議論に踏み込めたりと、実は未来への近道が開けてきます。
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★おまけ★
【湯船にipadを落しました】
ipad mini4を湯船に落としました。救い出したらウンともスンとも言わない。でも「乾いたら、なんとかなる気がする」2日間、寝かせてみました。復活しました!画面ザザザザーッてなってるけどお帰り~♪2週間後、今度は別のipadを湯船に落としました。今度は音が聞こえない。でも「なんとかなる気がする」2日間、寝かせてみました。復活しました!ウソみたいなホントの話。次の週、今度は外付けHDDが壊れました。過去8年分のデータが取り出せなくなりました。「なんとかなる気がする」3日間、寝かせてみたけど、とうとう、なんとかなりませんでした。データ復旧費用総額13万円也。一部ファイルは壊れてました。でも、お客さまにお願いしたらファイルを送っていただき復活(ナミダ!)なんとかなっちゃった!改めて8名の皆々さまには心から御礼申し上げます。本当に本当に有難うございました。
またメールします。
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グラフィックファシリテーター(R)やまざきゆにこです。
上の画像にも書きましたが「ディープラーニング」のディープって「深い」じゃないってご存知でしたか?今回の用語解説は、わたしがレクチャーを受けて、一番ビックリ目からウロコだった「ディープ」のお話からスタートです。「ディープ」の意味を知っておくだけでも理解が深まるのではないかと。
あわせて、もう一つ質問です。「AI」と「機械学習」と「ディープラーニング」。この3つの違いって、言えますか?わたしはというと「へ?そもそも、この3つを比較することすら考えもしなかった!」というくらいボンヤリしてました。3つの違いについても動画の最後に解説していますので、どうぞお見逃しなくです。
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さて、メールの表題には「具体的な絵に描けないアヤシイAIとアヤシイDX」と書きましたが、だから面白いんですよね~というお話。
そもそも「AI」という言葉を、絵巻物によく描くようになったのは2016年から。下の絵は当時、描いた絵の1つです。ほとんどが未来ビジョンを語りあう場でした。
※当時のblog記事→「 2016年今年よく描く絵【AI暴走】」
https://www.graphic-facilitation.jp/20161003/
「AIってどんな絵を描けばいいんだろ?」と迷ってとっさに描いたのが上の絵なのですが、単に四角い機器に命を宿らせただけみたいな絵しか描けず…。ウ~ン、具体的に描けないこのAI…なんだかアヤシイ。
「ただの箱かもしれない」「箱の中は本当にちゃんと仕事してるの?」「何がスゴイの?どうしたらスゴイって分かるの?」「AIは何でも出来るみたいに語られているけど…ホント?!」
絵筆が「具体的にどんな絵を描けばいいんだろ?」と迷う時、たいていそれは「使いまわされた言葉を表面的に使って議論している、ぼんやりビッグワード」のサインです。
話し合っている皆さんはAIの専門家ではないので「そんなこと言ったって」というお顔をされてましたが、とにかく当時のAI議論はかなりフワフワした状態でした。
でも「具体的な絵に描けない」ことは、悪いことばかりではないんです。「多くの人が魅了されて追い求め続けたくなる、未来を感じる言葉」というサインもあるんです。全てがそうとは言い切れませんが、AIやDXはまさにそれ。絵に描けなくてアヤシイけど、どんな絵なんだろうと追いかけ続けたくなる世界観のある言葉。
追いかけ続けている「変遷」は絵巻物の上にも見てとれます。例えば、2018年頃からは「具体的に何をするAIなのか」が語られるようになって、絵巻物にもだいぶ具体的な絵が描けてきました。でもまた最近は「AI人材」という言葉が出てきて「それって、どんな絵?!」と絵筆が迷ったばかりです。
現場では「具体的な絵に描きたい~ッ」と吠えておりますが、その「描けない」苦しさが、楽しいというか、未来を感じるというか。「絵巻物は完成しなくていいんじゃないの。モヤモヤが進化することが大事なんじゃないの。それって未来に進んでる証だよ」と言われているようなビッグワードです。
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「DX」もまた「具体的にどんな世界を描けばいいの?」と絵筆が唸ってしまう言葉です。これには多くの方も実感されているのでは?「DX推進っていうけどさ」「ただのデジタル化だよね」エトセトラエトセトラ…。
絵巻物には2018年あたりから登場してまして、下の絵を見て頂くと、当時から「バズワード」「単語だけを追いかけている」とか「カスタマーには関係ない」という絵が描けています。
「AI」の絵と大きく違うのは、常に「経営層から成長・成果を期待されるプレッシャーが伴う絵」ということですかね。なんだかいっつも社員の皆さんが辛そうな絵です。
わたしが初めてこの言葉を聞いたとき、当時すでにデジタルという言葉には「どんな絵の状態を言ってる?」と悩まされていたので、トランスフォーメーションという単語にオドロキでした。「なんだこれ?」「トランスフォーメーションってどんな絵?」「なんでX?」「UXとは違うXって?」カッコいいような感じがするけれど…全然イメージが湧かない…アヤシイ…。
試しに「トランスフォーメーション」で画像検索をしたら、当時、映画の『トランスフォーマー』がズラッと出てきて「え?!こんなカクカクした感じで変形するってこと?!」と余計に分からなくなっちゃってました。
とはいえ絵巻物の上で最終的に描きたいのは「人」であることは変わらないので、当時よく話し手のみなさんには「絵巻物的には『デジタルな絵』だけじゃなくて、もっと柔らくて平仮名な感じで生活が『とらんすふぉ~めぇ~しょぉ~ん』する感じで描きたいです」と言ってました。
分かりにくいですネ。翻訳すると「技術の話だけじゃなく、人の暮らしがどう変わるかを話し合ってほしい」という意味。「あら!こんな便利になっちゃった」とか「昔○○してたなんて信じられないわねー」と、気づいたら新たな暮らしが当たり前になっている絵が描けたらいいなと。
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そんな勝手な要望をしていた3年前に比べたら、今は実際に「目に見える形で」日々情報が入ってくるので、描き手としてはめちゃくちゃ楽になりました。
例えば「○○テック」という名のもとに生まれるアプリやガジェットなど実際に手に触れられるものは増え、仮想都市、デジタルツインといった世界も、実在する百貨店やビル、街があちらの空間に見えたりするだけで、描くイメージが湧いてきました。中国のニュースを追いかければ、さらに進化したスマート工場やらスマートシティ構想やら。デジタル人民元やオンライン診療を実際に利用する人たちの生の声まで聴けて「実感値」がつかめることが何より有り難いです。
「それはDXじゃない」と言われるものもあるのかもしれないけれど、描き手としては、映画の『トランスフォーマー』しか出てこなかった頃に比べたら、宝の山。
DXとは何ぞや議論も「3段階だ」「5ステップだ」「6つの成熟度だ」…と、やや混乱気味ですけど3年前に比べたらずっと交通整理されてきた感じ。
でも、これだけそろっても「DX」でどんな未来を実現するかという話し合いで、みんなの認識をあわせるのは別問題。方法論が目的になりやすいし、正解は1つではないしで、まだまだ過渡期な感じです。時代とともに消えていったバズワードたち(※)に比べると、もうしばらく長引きそうです。
(※)消えていった=「最近、絵巻物に描かなくなったな~」というバズワードたち。例えば、「プラットフォーム(プラットフォーマー)」各社イメージが違うので描き出すのは大変だったけど、今となっては懐かしい~。
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ちなみに先日参加したセミナーで、アメリカの投資家さんは「こっちではDXという言葉はほとんど使いませんね」と言ってました。え?そうなの?!どこまで正しい情報かは分かりませんが、日本ではまだしばらく続きそう。
そんな「みんなが未来を感じている言葉」ほど「アヤシイ議論」とも隣りあわせなので、さいごに、ご参考までに、絵巻物的(?)ビッグワードの攻略法をご紹介して終わりますね。話し合いがモヤモヤしたときに使える(かもしれない)カンタンなものを2つほど。
一つは「DX(ディーエックス)」と略さない。「わが社が取り組むデジタルトランスフォーメーションは」と語ること。そうすると、その後に続く中身に「どこがトランスフォーメーションなんだ?」と自分で自分にツッコめるでしょ?
と言うと「そうですね」と一笑されて実行してもらえないのですが、ビジネスの議論で「DX」のように「略して語る」せいで思考停止を引き起こしていることは結構多いです。
例えば、あるセミナーで「VOC」「VOC」「ブイオーシー」と連呼されて具体的な絵に描けませんでした。「VOC」って何の略かご存知ですか?「ボイス オブ カスタマー」。そうと分かると途端に絵筆はお客さまの表情やセリフを描きたくなります。コンタクトセンターの価値をどう最大限に生かすかといったその日の議題も、「VOC」と略して語っているときは仕組みづくりの話ばかりでしたが、「お客さまの声」を活かす議論にがらりと変わりました。
最近は部署名でも似たようなことがよく起きています。例えば組織のビジョンを語り合うとき、「BI」ではなく「ビジネスイノベーション」とあえて言葉にするだけで、全く描ける絵巻物が変わってきます。皆さんの会社の組織や手元の資料にそんな略された英語はありませんか?
もう1つの絵巻物的ビッグワード攻略法は「AIは人工知能」「マシーンラーニングは機械学習」「ディープラーニングは深層学習」というようにカタカナだけで語らず「日本語」も声に出して言うこと。まさに今回の用語解説も「ディープラーニング=深層学習」から本当の理解が深まりました。
では「DX」の日本語訳はなんでしょう?
ネットで調べると出てきます。スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念だそう。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」。
これを読んだとき、わたしの絵筆は「『ITの浸透』ってことはITを絵に描かなくっていいんだ!なんて楽ちーん」と感激しました。「大事なのは、デジタルで、トランスフォーメーションした先の、幸せな人たちを描くことなんだ」。日本語訳のおかげで、絵巻物の原点、その言葉の原点に戻してもらうことは本当に多いです。
「具体的な絵に描きたい」とは、結局は「人」を描きたいだけなんです。その技術やサービスや施策が「人」にどう役立つの?嬉しいの?幸せにするの?そういったシーンまで思い浮かばないとき(議論されていないとき)、それが「具体的な絵に描けない」ということ。
ちなみにグラフィックファシリテーションを体感した方たちは、その後お会いすると「こんな話をするとまたユニさんに『絵に描けない』って言われちゃうんだけどさ~」とよくおっしゃいます。絵筆を持たなくても、もうすっかりグラフィックファシリテーターです。
モヤモヤしていたら、まずは英語の略語やカタカナ英語から、「なんか具体的な絵に描けないなあ~」と言っちゃってみてください。未来志向な話し合いの時ほど、目の前の話し合いが「具体的な絵に描けない」ことに気づくほうが、堂々巡りの議論を止めたり、本質的な議論に踏み込めたりと、実は未来への近道が開けてきます。
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